いま、AR(拡張現実感)技術がアツい!

このダイアリーはPCなんかで起きたトラブルなんかをメモるつもりの日記だったんだけど、どうにも感動してしまったので記事にしてしまおう。


子供の頃にプログラマに憧れた時期もありましたが、グラフィックスが面白くていつのまにか道を外れてしまった僕ですが、改めて考えるとプログラマというのは本当に凄いなあと。

そんなプログラマの中でいま最も憧れるのが、現実世界の映像とデータの世界をリンクさせてしまうプログラムを作り出す人々。
世界最先端のCG技術と論文などが発表されるSIGGRAPHなんかでは毎年ワクワクしながら待っています。


去年のSIGGRAPHでもたくさんの目を見張るグラフィック技術が発表されましたが、今回はそれとは別です。
07年11月に奈良で開かれたISMAR2007というイベントで発表されたもののようです。




どんな技術かと言いますと、AR(Augmented Reality:拡張現実感/強化現実感)というもの。
バーチャルリアリティ(VR)、なんてて言う言葉はSFモノなんかでもよく耳にしますし、知ってる方は多いと思いますが、ARと聞くとピンと来ない方が多いと思います。


かくいうARもバーチャルリアリティのひとつです。
「拡張現実感」という名からも伝わるかもしれませんが、現実世界に情報の付加を与えるということです。


例えばカメラに映った映像に現実には見えないキャラクターを置いてみたり。
こればっかりは映像を見て貰えれば分かりやすいかと思います。
【ニコニコ動画】ARToolKitで初音ミク(その5):影をつけてみるテスト


要するに「電脳コイル」に出てくる電脳メガネみたいなものです(分からない方、すみません)
メガネのようなウェアラブルコンピュータと一緒に使えば部屋でペットを飼えないような家でも飼うことが出来たり。
博物館の展示品に動画や立体映像などの追加情報を付加したり、ゲームに応用したりといろいろ考えられますね。


ここから少し技術的な話になりますが、今までARには”目印”が必要でした。
上に貼ったニコニコ動画で言うならば、台座が目印になって、それを元に空間認識をしていますね。
実はこれはすでにゲームなんかにも応用されていて、PS3用ソフトのアイ・オブ・ジャッジメントなんかがそうです。


当然ながら、目印となる台座がカメラから外れてしまえば空間認識はできません。
当たり前ですよね。


しかし、その常識を打ち破ってしまった。衝撃でした。


ラッキング(追尾)から空間認識までの時間、ほんの1秒!
カメラが動けば自動的に次の追尾点を探し出して認識を続行します。


つまり、今まで必要だった認識のための"目印"が必要なくなるのです。
カメラと物体の距離を計算することも可能です。


また、こちらの動画では追尾点を立体の点として描画する映像が見られます

動画の中盤 01:17からの映像ですが、これが地味にスゴイ。

はじめに正面の人物をトラッキングして基準となる平面を作成、
人が動いている部屋をぐるっと一周してきますが、最初にいた人物のところに作った基準平面がズレていない!なんという精度だ!


えっ、処理にスーパーコンピュータが必要なんじゃないかって?
いやいや、これノートパソコン上でリアルタイムで動いているそうですよ。



※余談その1

眼に入れても痛くない(らしい)コンタクトレンズ型ディスプレイ
昨今はコンピュータのモバイル化が進み、ようやくウェアラブルコンピュータとも言えるようなものが見えてきて課題の一つとなっているディスプレイですが、こちらも衝撃の技術。
これほどAR技術と相性のいい技術もそうそうないのではと思います。


※余談その2

Australian Centre for Visual Technologies | VideoTrace: Rapid interactive scene modelling from video
こちらはSIGGRAPHで発表された、空間認識を応用した革命的な3Dモデリングの技術です。
映像を元にリアルな3Dモデルを作り出して、物体を容易にコピーしたり変化をさせたりしています。
ARとの応用例としては、リアルタイムに空間をいじれるといったところでしょうか。


※余談その3
非リアルタイムな3Dトラッキングソフトウェアというものは既に製品化・実用化されています。
映画では常用されており、日本のCM等でも実写との合成をよく見かけるようになりましたね。
どんなソフトが使われているのかというと、例えばこれ、boujou


プロユースに完全に耐えうるソフトで、素晴らしいソフトです。価格は210万円もします。(もちろん安価な3Dトラッキングソフトもあります)
使用したことがありますがトラッキングの計算速度は非常に低く、空間を作成していくには手動での操作が多く必要になります。
そんな3Dトラッキングをリアルタイム処理で、なおかつこの精度で実現してしまったというのは、それだけ今回発表された技術が凄いことなのです。




ARは本当に未来を感じさせてくれる技術だと思います。
これからの発展に目が離せないです。